英語は「やさしく、たくさん」という本をブックオフで買ってきました。2003年12月発売と20年以上も前の本に、「ベストの学習法はイマージョン」と書かれていたからです。
長年英字新聞に携わっておられた伊藤サムさんのベストセラーをまとめながら、この「やさしく、たくさん」が英語ペラペラにつながるかを探っていきたいと思います!
イマージョンラーニングとは:「イマージョン=浸ること」。習得したい言語に浸かる、つまり大量に聴く・読むインプットを行う言語の習得方法のこと
20年も前から日本で唱えられていたイマージョンラーニング
ブックオフで英語本のコーナーに行くと、かつてのベストセラーに出合えるので面白いですね。この「英語はやさしく、たくさん」は発売から20年以上が経っているため、普通の本屋さんには置いていないと思います。ちなみにこの記事を書いている2024年12月時点のお値段をAmazonで確認したところ、読み放題プラン(Kindle Unlimited)で¥0でした。
Amazonの評価は109件で★4.3と数も多くて高いですね。私が買ったもので6回も刷られているので、当時のベストセラーだったのだと思います。
そして、本文には何度も「イマージョンラーニング」という言葉が登場しています。日本ではイマージョンラーニングは最近の流行りだと思っていましたが、世界的には以前から主流だったのでしょうね。
その上、ベストの学習法はイマージョンであると、第6章ではっきり書かれています。ただし、大人のイマージョンについては子供とは異なる工夫が必要なようです。
著者の伊藤サムさんは、英字新聞の編集長
みなさんは、英字新聞を手に取ったことはありますか?この本の著者、伊藤サムさんはジャパンタイムズという英字新聞などで要職を務められました。ジャパンタイムズといえば、日本で一番有名な英字新聞と言って良いと思います。The Japan Times 公式サイト https://www.japantimes.co.jp/
サムさんのお父さんはアメリカ生まれの日系二世だそうですが、サムさんがお父さんから英語を教わったことはほとんどないとのこと。なので、英語環境は純日本人と同じと思って良いと思います。それが、中学生の時にラジオから聞こえてきた英語番組の「milk」という音に恋に落ちてから、英語をがむしゃらに学ぶ時期があったそうですよ。
というわけでサムさんは英語教育が専門の方ではないのですが、ジャパンタイムズで新人記者さんを育成したり、当時の「週刊ST」という英語学習者向けの週刊紙で編集長をされていたり、という中で人の英語力を育てる機会は多くお持ちであったようです。
本の要点:「やさしく、たくさん」こそが英語習熟への一番の早道
この本の要点を一言で言うなら、ズバリ「やさしく、たくさん」こそが英語習熟への早道だということです。20年も前の発刊ですからYouTubeは存在していない時代ですが、ラジカセで同じ英語のCDを朝から晩まで耳に入れることを提唱されていました。
その他にも、こんなことをおっしゃっていましたよ(青字は私のコメントです):
・大人の脳は日本語で固まり、化石化しやすい。柔軟性を取り戻すには、「たくさん」英語に接する。
→ 帰国子女の例を上げて、日本語で脳が出来上がる前に英語をインプットすると簡単にバイリンガルになると書いておられます。大人になってから英語を学ぶ私たちにできることは、やっぱりイマージョン!
・語学では基礎のマスターが死活的に大切。基礎とは発音と構文。
→ この部分を飛ばすと、後になって伸びないとのこと。イマージョンをやっていても文法を全く学ばない人がいますが、中学までの文法を初期にがっちり抑えることは私も強くお勧めしています。
・イマージョン教育は世界で大きな成果。ただしこれは児童が対象だから。
・イマージョンが大人には限定的な効果しかないのは、米国での移民の英語力に表れている。子供はすぐ話せるようになるが、大人は何十年暮らしてもそうならない。特にアジア系移民は欧州系より弱い模様。アジア系言語は英語との差が大きいことが関係しているのかも。
→ 子供の脳みそが柔らかいのはその通りですね。でも大人は現地に住んでいても大して話さない、ということもあると思います。日本に来ずに日本語がペラペラになった大人もたくさんおられるので、あとは何にどれくらい触れるかや、学ぶ目的の設定が大事なのでは。
一方で、話す練習については、それほど詳しく言及されていませんでした。
・自分にとって易しい英語をたくさん聞き、たくさん話す。
・発音は意図的な練習が必要。
・理解している英文を聞いてリピートする。
・時間がないなら、独り言で話しながら生活すれば良い。
この他にも、単語を訳ではなく「概念」として理解することや、英語をたくさん書くことについても述べておられました。さすが英字新聞の編集をリードされている方ですね。
また正直なところ、英語を話せるようになることについては、もう少し詳しい説明が欲しいなと感じました。誌面の都合からなのか、はたまたサムさんが英語教育の専門家ではないからかもしれません。
そして私の感想と学びですが、大人になってからはやっぱり不利なんだなという軽いショックが一つ。それから、「理解できる映像付きの音をたくさん、たくさん聞く」ことがベースになる。そして、話す練習はやっぱり必要だということでした。
それを中学の教科書で徹底的にやるのが、別の記事でご紹介した音読ということになると思います。これはぜひ、いろんな方に試してもらいたいものです! 関連記事:イマージョンに音読は必要?「英会話・ぜったい音読」レビュー
「やさしく、たくさん」のための環境作りはPCで
「やさしく、たくさん」を日常生活で実践するために、サムさんはCDの聞き流しを勧めておられます。2003年の本ということもあり、CDラジカセで同じCDを永遠リピート、飽きたら変えてOKという方法です。
なんかこんなのうちにもあったなー。さすがに今は時代が進んだので、私のお勧めはYouTubeで同じ動画を永遠リピートすることです。ただ、スマホでは逆にやりにくい!いらない動画見ちゃうんだもの。そこで見つけたのが、「PCでリピート再生」という方法です。
「やさしく、たくさん」の環境作りを進化させてみる
・スマホもいいけど、あんまり使っていないPCやタブレットから音を流すと、続けやすい
・自分が興味があって理解もできる動画、アニメなどをリピートし続ける
・一度はその動画に意識を向けて、ちゃんと理解してからかけ流しにする
私も学生の頃から20代にかけて、買ってきた本に付属のCDを永遠にかけ流していたのですが、何十年経ってもいまだに長い文でも無意識で言えるものが残ってます。
例えばこれ、頭の中で時々、出てくるんですよ。当時の実力からしたらとてもこんな長文話せなかったのですが、何度も何度も何度も、繰り返したからでしょうね。毎朝聴いてたドリカムやミスチルのアルバムみたいなものですね。
I think I might caught a cold…I know I should have taken extra vitamins over the last few days.(カゼ引いたかも。。何日か前からビタミン多めにとっとくんだったなー)
ということで、私もPCイマージョンを実践中です。CDラジカセを買おうかとも考えたのですが、PCで音を流すと映像も見られて一番良さそうです
ラジカセってなにげにシュルシュルと再生音がしませんでした?PCならそれもなくて快適です♪読むことで、聞けるようになる
先ほど、話すことはあまり丁寧に書かれていないと言いましたが、読むことはとても丁寧に解説されています。その理由が、サムさん自身もたくさん読んでこられたからだと思います。中2の4月から半年、英語を猛勉強してからその年の冬には英字新聞デビューされていたというから驚きです。
サムさんによると、読んで分からないものは聞いても分からない。読んで分かる文は、発音の基礎ができていればすぐ聞き取れるようになるとのこと。
確かにそうですね。私は読むことが日本語でも英語でもとても苦手なのですが、ストレスを感じない程度に易しい本から始めてみるのもいいかも知れません。本書のP159に「多読の心構え22ヵ条」なるものが載っていましたので、主なものを抜き出しておきますね。
多読の心構え22ヵ条の抜粋
・思い切って易しいものから始める → 日本語思考による干渉を減らせる
・好きなものをたくさん読む。イラストや写真のある教材を選ぶ
・訳したくなる衝動を抑え、英語の語順のまま理解しようとする
・読むことは、人の思考をなぞること。頭の中を100%英語にして読む
・辞書を引かずに、推測する力を養うのも良い。何度も出てきて気になるなら調べる
サムさんは、英検1級を取っている新人記者さんの育成でも、なんと200語以内で作られた本を読むことを勧めたりもされたそうです。プライドは横に置かなくてはいけませんが、本物の英語力のために「やさしく、たくさん」がどれだけ大事かを物語ってますよね。
何年もイマージョンしてられない人は
イマージョンの一つのデメリットは、とにかく時間がかかることだと思います。3ヶ月後に海外赴任、と言われたら。来月、仕事で会議運営をしなくてはならないとしたら。というか毎日、仕事で英語のチャットや会話が十分できなくて困っているとしたら、どうしたらいいのでしょう。
ここも私と同じ考えで、サムさんはこうおっしゃっています:
・基礎はみっちり、あとは度胸!
・初級教科書でも、全ての単語・発音・文法をマスターすれば、すでに上級者
・初級教科書は、頻度の高い万能表現を集めた最短距離で最大効率の教材
・万能表現と仕事上の専門用語を覚えたら、あとはどんどん使って体得する
要は、基礎をがっちり固める。自分の専門分野の表現を覚える。あとはどんどん使う。これだけですね。なんとシンプルなのでしょう。これなら、それほど時間もかからないはず!
まとめ:これが大人向けのイマージョン
最後に、英語は「やさしく、たくさん」をまとめておきたいと思います。青字は私の解釈です。
・とにかく初級の教科書(中学の教科書レベルのこと)を徹底的にマスターする。発音と構文の習得がベースになる。
・その教材のかけ流しをする。最初は意識を向けて理解したものを、何度も音読したりリピートすることで無意識に出てくるくらい繰り返す(飽きることを避けながら、楽しい範囲で。繰り返す期間は人と教材によるが、1−3ヶ月を目安にする)
・読むことも、とても重要。リスニングが弱いなら、リーディングをする。思い切って易しいものから始める。
・どうやって英語を使えるようになりたいか、ゴールをイメージしながら日々トレーニング。成果が全然違う。
・話せるようになるには、まず中学の英語を徹底的にマスターする。理解したものをたくさん聞いて、音読すると良い。自分の専門分野の単語を覚えたら、あとは日常での独り言を含めてガンガン実践すべし。
ここしばらく、イマージョン=聞くことだと思い込んでいたので、私の勉強法もほぼリスニングのみでした。超やさしい読み物を読むことを付け加えようと思った、土曜日の午後でした。
あとがき:オーストラリアのミートパイ
オーストラリア出身のオーナーさんが、週末だけ開店するという隠れ家的なミートパイ屋さんに行ってきました!ミートパイはオーストラリアのソウルフードのようです。
飲み物はフラットホワイト(650 yen) と、パイは種類がたくさんでしたが一番ベーシックなミートパイにしました (1,000 yen)。フラットホワイトはオーストラリア発祥で、カフェラテのような飲み物です。もう少しミルク少なめで、よりコーヒーが強くてクリーミーなのです。
肝心のパイの方も This is very Aussie!という感じ。サックサクのパイ生地と、中のどっしりしたお肉感。フラットホワイトとの組み合わせもうれしかったのですが、何よりもオーナーさんと英語でたっくさんお話しできて心満たされたなぁ・・・(What do you recommend? とおすすめのパイを聞いたら全種類、説明してくださいました!)
英語が少しでも話せると、この地球が何倍も面白くなりますよ^^さ、私も基礎のキソに戻っていっぱい読むぞー!本日も記事をお読みいただき、ありがとうございました!