英語を身に付ける方法として、英会話スクールやオンライン英会話を選ぶ人が多くおられます。英会話スクールはかなり高額、オンライン英会話は比較的安価で続けやすい。ですが、それらで英語学習に取り組んで、見違えるほど英語力が伸びた人があなたの周囲に何人おられるでしょうか?
結論から言うと、ネイティブと話すのは基礎力が付いてからでないと、ほとんど意味がありません。言語を身につけるには順番があり、まずは基本の文法と単語を「いつでも取り出せる」レベルで深く身につけることが必要です。
初心者が英会話スクールに行っても、ほとんど意味がない
英語初心者の方が、世の中の一般的な英会話スクールやオンライン英会話を利用してもほとんど英語が身に付かない理由は、ひとえに学ぶ順番が違うから。基本的な文法や単語をしっかりと学ぶのが先です。
基本的な文法と単語を身につけていないと、
・講師が話す内容を理解するのが難しい
・自分の言いたいことを適切に表現できず、発話に時間がかかる
・結果、講師が話すのを一方的に聴く時間が増えてしまう
・思うように話せなかったり成長している実感がないと、モチベーションが保てない
といったことが起きがちです。まさに負のスパイラルですね。
さらに、ネイティブ講師の場合、日本人がつまづくポイントを理解していることが少ないのではと思います。言語教育を専門的に学んだ講師、指導歴が長い講師でないと、適切なフィードバックを受けにくいといったこともあるでしょう。
また講師の中には、言語を教えることに情熱を燃やしている方、自分の仕事にほこりを持ってすばらしい指導をして下さる方も多いでしょうが、言語教育より日本に興味があって滞在しているなど、それほど英語教育のモチベーションや能力が高くない講師も残念ながらおられます。
また、マインド面の落とし穴もあると思います。というのは、一般的に、英会話スクールの授業料は高額ですが、高いお金を払うと「これだけ投資したんだから、スクールが色々手厚いサポートをしてくれるだろう」と思いがち。要は他人任せ、他責思考になってしまうということです。
そうすると、いつまで経っても何も得られない、身につけられないループにはまってしまう=英語難民やノウハウコレクターが生まれてしまう、ということなのでしょうね。
高額の授業料が必ずしも悪いということではないのですが、基本は自分の力で英語を身につける。その上で、利用できるものはする、というスタンスが大事なのだと思います。そして、この基本を身につける段階で指導者の力を借りるのであれば、日本人の先生が適していると私は考えます。
英語の基礎が「身についている」状態とは
英語の基礎が大事なことは分かった。でも、文法なんて中学生の頃にやったし、復習はさらっとで良いのでは?と思う方もおられるのではと思います。
が、ここで私の言う「身についている」状態とは、すぐに思い出せて、使いこなせることを言います。たとえ体調が悪くてもお酒に酔っていても、ほぼ無意識でその知識を話せる・書けるということ。私たち日本語ネイティブが日本語を使うときに、ほぼストレスなく聞こえたものを理解し、言いたいことを言えるのと同じ感覚です。
< 英語学習の深さ >
ステージ1: 知っている:英語の音や文字、基本の単語や文法を正しく理解し使い方を知る
ステージ2: 思い出せる:簡単な会話をしたり文章を書いて、学んだ単語や文法を実際に使う
ステージ3: 使いこなせる:学んだ内容が長期的に記憶に残り、必要な時にすぐに思い出せる
中学、高校の授業や塾などで英語に触れてきた方、英語のテストではまあまあ点が取れるという方も、ステップ2のレベルまでの学習にとどまっているのではないでしょうか。
英語を「使いこなす」には、音読と暗記が効果を発揮します。「知っている」を「ちょっと使える」だけでなく「使いこなす」ための練習を積み重ねることで、過去に積み上げてきた英語学習や断片的な知識を生きたものに生まれ変わらせることができます。
英語が使いこなせる=ほぼ無意識の車の運転やスポーツと同じ
こうした英語学習に段階があるということを、学生時代は誰も教えてくれなかったかもしれません。ですが考えてみると、英語を日本語と同じように無意識で使えるようになる感覚は、以下の様な例ととてもよく似ています。
車の運転:最初は教室で知識を身につけ、エンジンをかけることやアクセルをそーっと踏むと車が前に進むことにもドキドキしていたのに、慣れると運転しながら鼻歌を歌ったり考えごとができるようになっていきます。
料理:慣れないうちはレシピを見て材料を測り、火加減に気をつけ、調理の一つ一つの工程を確認するし、味付けが決まらなかったり同時にいくつものことを進められなかったりします。ですが何度も繰り返すうちに、調理の手順を覚え手際よくできるようになっていきます。
ギター演奏:初めてギターを手にしたときは、コードの押さえ方が難しく、音もうまく出せません。しかし練習を続けるうちに、コードチェンジもスムーズに。最終的には耳コピして即興で演奏できるようにもなっていきます。
サッカーや野球やテニスなどのスポーツでも、毎日毎日コツコツ練習していれば、そのうち球が飛んで来たらアレコレ考えずに瞬時に正しい反応ができるようになっていきますよね。英語学習も、それと全く同じことです。
基本的な単語や文法を「知っている」状態以下でいきなり会話の実践の場に出かけるのは、その「毎日毎日コツコツ」をすっ飛ばしていることになるのです。英会話スクールの授業単価はとっても高額なのに、本当にもったいない。
英語力がとぼしいまま留学して話せないまま帰ってくる人、アメリカに何十年も住んでいても流ちょうに話せない人が少なくないという事実からも、「ネイティブと話したらなんとかなる」信仰から脱しないといけないですね。
一方、英語を「使いこなせる」ための練習を積み重ねた後であれば、英会話スクールやオンライン英会話の活用は効果的です。その時も、雑談で1コマを終わらせるのではなくテーマや目標を持つと良いと思います。
例えば「海外旅行のフライトから入国審査での英会話」や「英語でのプレゼンテーションの練習」など、事前に扱いたいテーマや具体的な目標を設定するのも良いと思います。話せるようになりたいコンテンツに加えて、自分の発音の改善点について具体的なフィードバックをしてもらうのも良いですね。
まとめ
英語初心者のうちにいきなり英会話スクールやオンライン英会話を利用しないほうが良い理由についてお伝えしました。まずは基本の文法と単語をしっかり身につけましょう。
「身につける」とは日本語のようにほぼ無意識で使えるようになる、ということです。
その習得の過程はスポーツや料理、車の運転とよく似ていて、シンプルな練習の積み重ねによって、「知っている」を「使いこなせる」に変えることができます。
英語は受け身で教えてもらうものではなく、基本は自分で身につけるもの。特にこの段階は、日本人の指導者のほうが適しています。ここを経てから、ネイティブとの会話を楽しむステージに進んでくださいね。
Thank you for reading, and see you next time!