大人になってから英語をやり直そうというとき、まずは単語からと考える人が多くおられます。本屋さんの英語コーナーに行くと本の種類が多すぎて何が良いのか分からないから、ひとまず学生時代に経験があるものから手を付けてみよう、となるようです。
単語を見直すのは良いことではあるのですが、やり方によって効果が全く変わってきてしまいます。特に、英語と日本語を一対一で覚える方法はデメリットが多く、お勧めできません。
そこでこの記事では、特に英語学習の初級者の方に向けて、具体的に正しい語彙力の増やし方をお伝えします。
単語の学習方法とその長所・短所
単語には大きく分けて3つの学習方法があります。それぞれを3つの観点で評価してみました。実践で役に立つのは、長文の中で覚える方法です。
単語の覚え方の種類
- 単語→和訳型:consider、考慮する、と単語ごとの訳を覚える方法
- 一文の中で覚える:覚える対象の単語が一つの文に含まれている表現集を使う方法
- 長文の中で覚える:覚える対象の単語が、複数の文のストーリーの中に含まれている長文集を使う方法
単語の覚え方は大きく分けるとこの3つですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
単語の覚え方① 単語→和訳型
<メリット>
● 短い時間に数多くの単語に触れられる
● やり方がシンプルで、学習教材も豊富
<デメリット>
● 日本語訳を覚えてしまい、単語のイメージを持ちにくい。単語には複数の意味があり、文の流れの中でどの意味かを瞬時にとらえる必要があるが、これができるようにならない
● その単語に出合ったときに日本語に訳さないといけない=脳のリソースを使い非効率、疲れる
● その単語がよく使われる単語の組み合わせや文法がわからない(日本語でも「ブログを読む」とは言えても「ブログを飲む」「ブログを歩く」とは言わない)
単語の覚え方② 一文の中で覚える
<メリット>
● 単語が文の中でどのように使われるのか、イメージをともなって理解できる
● 文を音読すれば、その単語と相性の良い表現や文法も一緒にインプットできる
● 一つの文に集中して、比較的効率よく学習できる
<デメリット>
● 一文だけでは単語の色々な使い方やニュアンスを十分に理解することが難しい
● 単語→和訳型ほど、短時間に数多くの単語に触れることができない
単語の覚え方③ 長文の中で覚える
<メリット>
● 文脈の中で単語がどのように使われるかという自然な使い方や、その単語のイメージがつかめる
● 長文を読みこめば、単語の意味や使い方がより深く記憶に残りやすくなる
● 長文を読み込めば、その単語以外の表現も一緒にインプットでき、総合的な英語力が向上する
<デメリット>
● 長文を読みこむには時間がかかり、効率が悪い
● 単語の網羅性がイマイチ
● 単語を長文の中で無理に使おうとしている題材もある
● 初学者にとっては実践が難しい。上級者には最適な勉強法
単語→和訳型の覚え方では、英語が使えるようにならない
ではどの学習方法が最適かですが、一文の中で覚えるか、長文の中で覚える方法のいずれかがお勧めです。新しい単語を記憶するのに、単語→和訳型はNGと覚えて頂ければと思います。
じゃあ今までその方法で努力してきたのは何だったんだろう・・・と思われる方も多いかもしれませんね。この覚え方だと、とにかく「使えるようにならない」のです。実際の英文の中で聴いたり読んだりしても、とっさに反応することができません。訳してしまうからですね。
訳すことで時間がかかりますし、スピーディに訳したとしても、その文の中では覚えた意味とは違う意味で使われていることも多々あります。そもそも単語学習の目的は「実際の英文を聴いたり読んだりして、わかるようになること」のはず。この目的に近づけるような学習方法を選びたいですよね。
この点からすると長文の中で覚えるのがベストですが、時間もかかるので初級者は一人では挫折してしまいがち。英語自体に慣れていないうちから長文をいきなり読むのってかなりキツいですよね。そこで、1文に1語、覚えたい単語が含まれている文例を載せている単語集か、単語を含めた解説が超丁寧な長文集を選ぶのが良いと思います。
英語初級者の語彙力アップにお勧めの英語教材
では、実際にどのような英語教材を選べばよいかですが、学生の方は中学校3年分の英語の教科書が一つの正解です。これを完璧に理解し、記憶すれば単語、熟語、文法理解からリスニング力までが一気に身につきます。
大人になってから英語をやり直したい場合のお勧め英単語教材は、速読速聴・英単語 Basic2400 です。単語1,900語と熟語 500語の計2,400語が収録されており、長文の中で自然な英語の使われ方を知ることができます。丁寧に読み込んで1日10分 x 朝晩、など音読を続けていけば相当な力がつくことでしょう。
引用元:https://00m.in/sWlIU
こちらの教材については、また別の記事で詳しくレビューします。まさに中学の英語の教科書を思い出すような構成ですね。もちろん音声もついています。
・・・イマドキは、CDではなくてダウンロード型の本がほとんどになってきましたね。私が英語教材を買いあさっていた頃はCDが基本だったので、CDホルダーがいつも英語教材でいっぱいになっていました。
英語学習=読んでも聞いても分かる文を増やしていく作業
単語は一度にたくさん、和訳型で覚えたくなる気持ちもすごく分かります。学校の試験対策には、それが必要なときもあるかもしれません。ですがその方法では本当に「使えるようになる」にはならないのですよね。
英語を身につけるとは、読んでも聞いても分かる文を増やしていく作業だと思っています。
読んで意味の分かる文であれば聞いても分かりますし、触れた回数が多ければ自然と口から英語が出てきます。地味で苦手な方が多いかもしれませんが、実は英語の学習方法とは非常にシンプルなものなのです。
こうして考えると、教科書丸暗記は実に理にかなった方法ですね。実際に、私も中学校の定期テストは3年間、ほぼ満点でした。教科書を音読したり、時々書き出したりして覚えてしまえば、穴埋め、並べ替え問題、英作文もすべて正解できる!と中学生で気づいていたからです。
大人になってから英語をやり直す場合、例えば10分間で音読できる範囲を1週間、朝晩毎日音読する。そして次の1週間でまた次の範囲に移って朝晩音読する、という方法ではいかがでしょうか。
自分にとって楽しく、無理なく続けられる方法で英語に触れ続けることが一番ですから、自分に合う「続けられる音読」の方法を見つけてみて下さいね。
まとめ
英単語の覚え方には大きく分けて3種類ありますが、学生の頃から定番の単語→和訳型はとにかくお勧めできないとお伝えしました。代わりに、その人のレベルによりますが一文か長文の中で自然な英語を、相性の良い表現と一緒に覚えてしまうのがお勧めです。
英語を身につけるとは、読んでも聞いても分かる英文を増やしていく作業。自分のレベルに合った、楽しくて続けられる教材を見つけて、英語に継続的に触れていってくださいね。
Thank you for reading, and see you next time!