イマージョンに音読は必要?「英会話・ぜったい音読」レビュー

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Hi there, Sweet English へようこそ!米国イェール大学のイマージョンラーニングを主体とする語学教育を、前回こちらの記事でご紹介しました。◆関連記事:世界のイマージョン事情:イェール大学の場合

イェールで政治学を教えておられた斉藤先生の著書、世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法」によると、もう10年も前の発刊でしたが当時でも世界での言語教育はイマージョンが主流だったそうです。

この中で気になったのが、「これぞと決めたコンテンツは500回音読しよう」という学習法です。え?イマージョンってひたすらインプットしていれば良いんじゃないの??

実は、ここ最近の自分の勉強法がパッシブリスニング、という英語のバックグラウンド再生が大半だったこともあるのですが、ながらリスニングを数週間やってみても、正直「伸びてるー!」っていう感覚がそれほど得られていなかったのです。

TOEICのリスニングセクションを解いてみたらいつもより楽に聴けたし、得点率も上がっていました(100問中94問正解でした!)でも、それも1回限りのことなので何度か受けると結果は違うかもしれません。

数年をかけて英語を超大量にインプットするのがイマージョンラーニングではあるのですが、もっと早く結果が欲しいのです!!私の脳みそも短絡的なのだとは思いますが、人間はすぐ結果を求めたがる生き物。数年も待ってられません。

ということで、これまでのながらリスニングに加えて音読にチャレンジすることにしました。

目次

「英会話・ぜったい音読 入門編」に出合う

音読は、受験生のころからずっとやっていた勉強法の一つ。でも、その時は解いた問題をすべて、当日と次の日に10回音読するというシンプルなものでした(そしてはげしくノドを痛めておりました。長文問題はもう半泣きです)。

その受験当時から30年近く経って、音読に関するメソッドもアップデートされておるのではとYouTubeなどをあさっていたら、たまたま立ち寄ったBookオフでこんな本を見つけたのです。

「英会話・ぜったい 音読 入門編」
編者 國弘正雄、トレーニング指導 久保野雅史、レッスン選択 千田潤一

アンテナを張ると情報が入ってくるものですね・・・以前から知っていた本でしたが、今回はブックオフの棚できらりんと光って見えました。何冊も中途半端にしか読めていない本を売った矢先に新しい本を買うなんて、と心の中で自己批判の小悪魔がささやきましたが、そこは完全スルーです。だって英語の話だもの!!

えらいこっちゃ。「英語が自然に身につくなんてウソです」

「英会話・ぜったい 音読 入門編」は2001年4月に初版発行、その後私が買ったものでも2011年で第15刷と大増刷されている人気の書籍なのですね。

編者の國弘先生は、”同時通訳の神様”

この書籍の編者、國弘 正雄先生は、同時通訳の神様と言われる方です。NHK教育テレビなどの講師はもちろん、大学教授、日テレのニュースキャスターから参議院議員まで担ってこられました。

ここまででもうすでに異次元ですが、各国の首脳陣の同時通訳としても活躍してこられました。通訳スクールの草分け、サイマルアカデミーの創設者でもあります。著書も数多く出され、こちらの本に至っては現在Amazonで8,042円という価格がついています。この書籍が絶版なのが信じられません(ほしいけどちょっと高い!)

説得力がありすぎる、國弘先生の音読のススメ

その國弘先生が「英会話・ぜったい音読入門編」の中で、音読で英語回路を作る、と題してその重要性を説いておられます。その冒頭の小見出しが「英語が自然に身につくなんてウソです」

これはちまたに溢れる「自然に、聞き流すだけで、楽に英語が身につく」といった宣伝文句の英語教材に対して述べられたものです。でも私は、いまの自分のイマージョンもどきの学習法でも英語は上達しないよと言われているように感じました。

その後の8ページにわたる先生のお話を、簡単にまとめるとこうなります:

◆英語を浴びるように聴くことも大切だが、それだけではいけない。英語を母語としない者同士が、非英語環境に住んで「自然に」英語がみにつくことはどう考えても「自然な」ことではない。

英語ができない原因は体の中に英語の基礎回路が出来ていないから。家を建てるときの基礎工事なしに高い柱が建てられないのとまったく同じこと。基礎回路なしに、単語やイディオムを覚えても断片的で「ざるで水をすくうようなもの」。

◆その「英語の基礎回路」とは、<英語 → イメージ>と直結の流れで理解できる思考パターンのこと。基礎回路ができれば、英語に触れた分だけ着実に英語の力が上がるようになる。

◆英語の基礎回路を作るには、自分の核となる基礎テキストをこれと決め、それとトコトン付き合い、「内在化、つまり血となり肉としていく」こと。

◆やり方は色々あるが一番簡単で、自分の好きな場所でできるのが音読。一通り意味の分かったテキストを何回もひたすら声を出して読む。

覚えることが目的ではない。自分の五感のうち一つでも多くを動かす。声に出して読み、手で書き写すことで、「運動記憶」に訴えることができる

◆基礎テキストはなんでもよいが、まずは中学英語から。その後は、どんどん外へ出て自分の好きな分野で語彙など補強していく

説いておられることは非常にシンプルだと感じました。中学のテキスト程度の英語をとことん深く身につけることで、英語の基礎回路を作る。これだけですよね。

私も中学の時からずっとやっていました。教科書を丸暗記すると、テストでほぼ満点が取れるからです。何も考えなくても穴埋め、並べ替え、和文英訳などどんな問題形式でもぜーんぶ、考えないでも体から答えが「出てくる」ので、テストの時間が余ってヒマでしょうがないのですが。というふうになるのです。

周りで頭を抱えながらテストを受けているクラスメイトのみんなからはちょっと感じ悪い人ですが・・・だって事実なんだからしょうがない。

まだ世界のイマージョン事情を調査していきたいですが、直感と経験的に「これぞと決めたテキストの徹底音読はすごく効果があるし、というかしないと英語はいつまでもできるようにならない、マストのアクション」と考えます。

ただし音読丸暗記には問題があり、それは「飽きる」こと。これについては、共著の久保野先生が次のセクションで対策を伝えてくださっています。

音読の「飽き」にどう対処するか?

久保野先生は超名門、東大進学者を多数輩出されている筑波大学附属駒場中学・高等学校の教諭でおられます(どんな授業か一度拝見してみたいものです)。さらに、私も中学生でお世話になった教科書「Sunshine」などを執筆しておられるとのこと。

その久保野先生が、「英会話・ぜったい 音読 入門編」の使い方解説の中で、飽きることへの対策として「机に向かっての勉強は、1日1時間程度を目処にする」ことを勧めておられます。

この時間を限定する、というのは心理的にも良いなと感じました。ダメと言われると、人間はもっとやりたくなる生き物だからです。実際には、忙しいサラリーマンが毎日1時間も音読してたらそれだけですごいことですけどね。そして、1時間でも十分に成果は出ると思います!

とは言え最初は1日15分、慣れたら30分、と時間を増やしていくのがお勧めです。なにごともベイビーステップですよ^^

この他にも、久保野先生のトレーニングアドバイスには有用なものが多くありました:

●毎日一定の時間に練習する習慣を付けるのも良い:トイレで音読、通勤電車でヒアリングなど
●毎日必ず練習する(身につけようとしている英語は、スポーツと同じく「技能」だから)
●練習記録をつける(書籍の後ろに、記録シートがついています)
●初歩と基本を混同しない(これは・・・ぜひ本を手に取ってみてください)

具体的な音読のやり方:推奨ステップはやや面倒?

「英会話・ぜったい 音読 入門編」には、具体的な音読の練習方法まで書いてあります。基本編・応用編・発展編に分けて1冊で3ヶ月をかけて身に付けるように設計されています。

本で推奨されている音読の進め方

◆基礎トレーニング(第1 ~ 24日目)
テキストを見ずにCDを聴く → テキストを見ながらCDを聴く → テキストを黙読して意味を理解する → CDを聴いて1文ずつ音読する → CDにかぶせて音読する → CDなしで音読する

◆応用トレーニング(第25 ~ 60日目)
基礎トレーニングのやり方をライトにして、テキストの書き写しを加える

◆発展トレーニング(第61 ~ 90日目)
基礎、発展編のトレーニングに加えて、テキストをちらっと見てから文字を見ないでその文を言ってみる「Look up and say」や一人対話、スピーチトレーニングなどを加える

*それぞれの回数も細かく掲載されています。詳しくは、書籍を手にお取りください。

手順としては正しいと思いました。基礎回路を作るのであればこれくらいやっても良いと思います。

ただ、必ず机に向かって文字を書く必要があり、工程も複雑です。複雑になるほどに人は面倒と感じるものですよね。すごくシンプルにするのであれば、以下の手順にまとめても良いと思います。

シンプルな音読のやり方

1. CDを聞いてみる ー まずは数回聞く。理解できないところがあっても気にしない
2. 音読する ー 自分の好きな量を、朝晩の1日2回。声は出した方がよし
3. シャドーイングする ー 通勤中などながら勉強で。ついていけないところは復習ポイント
→ 日々2、3を繰り返し、飽きても最低3週間は続ける。ただし新しいものを加えてもよい。

音読で声を出すところですが、つぶやくだけでもよいと思います。ただ、心の中で考えるだけだと成果が7割くらいになるなと経験的に感じます。ですので、たとえ通勤電車の中であってもモゴモゴと口を動かすことをお勧めします。

こうして口の筋肉に、英語の筋肉運動をすり込むのです。野球の素振りと同じですね^^。ふぁいとー!

TOEIC高得点ホルダーさんはどうする?

「英会話・ぜったい 音読 入門編」は中学2年生の教科書から抜粋された英文が載っています。私もやってみようと思ったのですが、CDと併せて英文を確認したところちょっと3ヶ月やるのは気が進まない・・・と感じました。

そこでさらに調べたところ、「挑戦編」にTOEICスコア別のおすすめ教材が載っていました。TOEICが470点までの人は入門編、470-600点は標準編、そして600点以上は挑戦編とのことです。挑戦編は高校の教科書からの抜粋ですね。

高校文法を「基礎回路」として定着させて、もう一歩高みに上るのはすごく価値のあることだと思います。リーティングが楽になり、それがリスニングをより楽に、「自動化」するからです。

私も受験生の頃に死ぬほど音読はやっていましたが、教科書を丸暗記した以外では何かの問題集の英語長文を多くても20回読んだくらいでした。なので、尊敬する先生方が厳選された英文をインストールすることにチャレンジしてみたいと感じます。

一方で、アマゾンレビューなどを見ていると英文がビジネスパーソンにとって実用的ではないとの指摘がありました。そりゃそうですよね、高校の教科書だもの。実用的ではないとモチベーションが続きにくくなる。やがてやめてしまう・・・そうなるのが一番良くありません。

英語を学ぶことにおいて最も大事なこと、それは「続けられること」。こう考えた時に、例えばTOEICを受けるならTOEICのテキスト、会社でビジネス英語を使えるようになりたいなら何かしらのビジネス英語表現をそのままインストールするのが良いと考えます。

もちろん、國弘先生、久保野先生、西田先生が厳選された英語やそこにかける思いに触れてみたい方は「英会話・ぜったい音読」シリーズを手にお取りください

さぁ、ブログ書き終わったら私も音読はじめよう!Thank you for joining me on this exciting journey into immersion learning!

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