絶対音感と英語が話せることの共通点 – 自動化とは?その学習法は?

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「なにかの音を聴いたら、楽譜がなくてもだいたいピアノで再現できる」と言うと、びっくりされることがあります。私は6歳から家の近くのピアノ教室に通い始めて、今でも時々小さなコンサートに出たりバンド活動をしています。音大の出身ではないのですが、いわゆる絶対音感に近いものを育ててきているようです。

街で繰り返し聞こえてくる音も、勝手に脳内で音符になっています。例えばファミマに入ったら「ファーレーラーレーミーラー🎵 ミーファーミーラーレー🎵」です(ファは#を付けてくださいね)。

それでふと、このピアノの能力って、言語が無意識に話せる状況ときわめて似ているのでは?と思ったのです。これこそが、イマージョンラーニングで身につけたい ” 感覚 ” だなぁと。

そして、誰にでも、小さい頃に言語以外で身につけた能力があるものですよね。こうした経験と能力と、言語を身につける感覚をつなげて説明すれば「英語が話せるってこんな感じ」が多くの人に伝わるのではと思い、少し詳しく書いていきたいと思います

イマージョンラーニングとは:「イマージョン=浸ること」。習得したい言語に浸かる、つまり大量に聴く・読むインプットを行う言語の習得方法のこと

*リアル実家のピアノです。もう何十年一緒にいる子でしょうか・・・

目次

絶対音感持ちの脳内

今とあるカフェでこの記事を書いているわけですが、うっすらBGMがかかっています。意識を向けなければ音が鳴っているなと気付くくらいですが、これ弾いてと言われたらメロディーやリズムなどその曲の骨格的なところを把握しにかかります。

BGMはまだ「聴いてもらうためのもの」ではないので、主張が強くないのが良いのですね。神経にはさほど障りません。ただ繰り返し流されるJ-POPSなんかだと、日本語が乗っているし、メロディは人の心に残るように作られています。なので、音が言葉のようにはっきりと意識に入ってきます。きてしまう、という方が正確かもしれません。

ましてファミマ。日本全国、老も若きもみんなが知ってる曲、考えてみるとすごいことです。それだけキャッチーに作られてるんですよね。なので、私の脳みその中でも現在、ファミマの音が盛大に繰り広げられています。

というか、音が再現できることが私には普通のことすぎて、逆にみんなにはどう聞こえているのか理解ができなかったりします。え?ファはファでしょ?それ以外の何?みたいな感じです。

こうした感じで常日頃からテレビ、動画や街で聞こえてくるあらゆる音が音符になって読み替えられるし、なんなら伴奏を付けたり短調(暗い曲の雰囲気)にしたりともっと複雑なことが勝手に脳内で始まってしまうので、音に敏感であることはまあまあ疲れます。楽しいのですけれどね。

この能力をどうやって育てた?

私たち日本人が日本語を「気づいたら話せるようになっていた」ように、小さい頃からほぼ毎日ピアノを弾いてきました。本当はレッスンの3日前から焦り出すのですが、まあそこはほぼ毎日と言わせてくださいw。

週に一度、歩いて5分の距離にあるお教室で個人レッスンを受けます。小学校の頃は先生が厳しくて、演奏を間違えると手の甲をピシャってされたりで結構怖かったです。まあそれはさておき、毎週課題曲をもらって、それを家で練習する。そしてレッスンで見てもらう。合格ならまた次の曲、という流れです。

1つの曲は1ヶ月くらい、長くても2ヶ月くらいで卒業してまた次の曲に進みます。ただ、その練習曲は基礎力を育てるものなので、よく似たことを形を変えながら繰り返し、繰り返しやるのですね。今思うと、これが英語で言うパターンプラクティスに近かったのかも。

そして2年に一度発表会があり、その1曲は半年くらいかけて練習します。ステージって本当に魔物がいるのですよ・・・ほんっと、いつもならありえないミスを連発するのですね。練習で150%、いえ200%カンペキを作っておいて、本番でやっと80%が出せたかなー、という仕上がりになります(ここ賛同してくださる方、多いはず)

といった感じで、小学校1年生の4月に母とピアノ教室を訪れてから、19歳の浪人生の秋までと、また20代後半から数年、ピアノ教室に通ってクラシックピアノを習ってきたのでした。習い始めて10年くらいで、聞こえてきた音を少しであればピアノで再現することはできるようになっていたと思います。

音楽と言語の習得法にある、重要な共通点

今は生のピアノを練習する住環境になく、技術も全盛期の半分くらいに落ちてしまいましたが、それでも弾ける曲があります。それは、発表会のために1,000回くらい練習した曲です。あるいは、好きで時々楽譜を取り出して弾き直していた曲。

ピアノの前に座れば「自動演奏」が始まります。特に何も考えなくても、頑張らなくても、結構複雑なことができてしまうというわけです。ここは私たちの日本語の能力と似ていますよね。考えなくても話せる、読める、聞いて分かる、という。

限られた日本語の文章を1,000回も音読した訳ではないですが、ごく基本的な生活に用いられる言葉であれば、大量に浴び、発してきていますよね。そして普通に話せるようになった。これがまさにイマージョンラーニングで目指されている環境なのだと思います。

楽譜を全部読む労苦から解放された、すごい仕組み

コード、ってご存知でしょうか?音の組み合わせのことでA、B、Cなどアルファベットの名前が付いています。Cメジャーとか、Aマイナーという言葉を聞いたことがある方もおられるのでは?これを知っていれば、曲がすぐ弾けてしまうのです

クラシックピアノでは基本的にコードの概念は学びません。いや、私の教室では習わなかっただけかもしれませんが、とにかく小さい時はそんなものを知りませんでした。楽譜は書いてある通り、前から読んでいきます。譜読みに結構時間がかかるんだな。。その頃はYouTubeもなかったですしね。

ただ、中学2年の時のお友達でエレクトーンを習っている子がいたのです。そのY子ちゃんがG線上のアリアという曲をですね、CとかGとか言いながら学校の教室にあるオルガンで弾いてくれる訳です。もう、衝撃でした。だって、3、4の音の組み合わせから音を選ぶだけで曲になるなんだもの。

さらにコードの威力を思い知ったのが、社会人になってから始めた会社の仲間というかセンパイたちとのバンド活動です。「1ヶ月後に音楽スタジオに入るまでに、L’Arc~en~Cielの5曲を用意してくる」・・・ギタリストもベーシストもこれが普通にできてしまうのは、コードの知識と「体感」を持っているからでした。

クラシックなら1ヶ月でできることは本当に限られています。まずもって、5曲は無理ですね。仕上げるのなら1曲、頑張って2曲がせいぜい。ただ、コードの考え方を持ちながら曲を弾くのならコードのルールから飛び出さなければどの音を弾いてもさほど問題ないので、クラシックで一言一句、曲を再現するよりよほど楽なのです。

このコードという音のひとかたまりがきっと、言語でいうパターンなのだと思います。ある程度のパターンがあって、それに単語を変えながら当てはめればおおよそのことが話せる。一時期私も、森沢洋介先生のパターンプラクティス本📕をやり込みましたが、それまでバラバラだった言葉の知識を一つにまとめて、ブーストさせる感覚が得られたように思っています(なので、やっていて楽しかったのです)。

誰にでもある、「感覚的な」能力:これが自動化

単語や文法などの知識を自然に、無意識に出てくるようにすることは「自動化」と呼ばれます。

 ● 小さい頃から毎日、何年もピアノを弾いてきた → 何も考えずに音がわかるようになった

 ● 1,000回くらい、1曲を練習した → 数十年が経っていても、まだ無意識で弾ける

きっとピアノを通して得た能力が、私の中で自動化されていたんでしょうね。

そして!何度も何度もくりかえしやったシンプルなことって、誰しもあるはずなんです。例えば、自転車に乗る。プールで泳ぐ。

さらに身近なところで言うと、文字を書くのだって、歯を磨くのもそう、包丁を握るのだって、最初はぎこちなかったはずなのに。5歳の子供がりんごの皮をむいたりしたらもう大変、包丁がすべって手を切るってよくありますよね。

でも、料理に慣れたお父さん・お母さんなら音楽聞きながらリンゴの皮もむくし、次の工程、なんなら全然関係ない明日のことを包丁を扱うという複雑な作業と同時に考えていられたりします。これが、「自動化」された能力です。

では、言語の習得にどう活かしていけばいいか

なぜ私たちは、日本語で考えられるのか?それは、日本語が自動化されているから。

なぜ、英語ネイティブは自然に英語が出てくるのか?それは、英語が自動化されているから。

きっとそれだけなのですよね。それができるようになってしまうと、もう、「そうしないこと」のほうが難しい、という状態になるのです。

ではどうやってその状態を作るかですが、もし歯磨きや文字を書くこと、私にとっての音楽と同じように考えるのであれば、シンプルな工程を毎日のように繰り返す、これが答えなのだと思います。

ただ一つ、ここで問題になるのがそれを身につけようとする年齢です。どうやら、高校生以降くらいの年齢から、能力が固まり始めてしまうようなのです。

もちろん繰り返し行ったことは自分が生きていくために必要な能力、として脳が捉えてくれ、一定のレベルまでは身につきますが、それまでに経験を積んでいる分、別の能力と紐づけてしまうことがあるようです。

どれだけ英語が流暢でも、同時通訳者でも日本語らしい発音が抜けない方は多くおられますしね。いや、相手に負荷なく通じればいいとは思うのですけどね。

この辺りはまだ自分の中でも答えが出せていないのですが、純粋なイマージョン=聞いているだけで、話すトレーニングは必要ないという考えが正しいのか、それとも高校生以降の大人の学び方があるのではと考え始めています。

それはまた、自分の実体験を記事にしていきますね。

それにしても脳はとてもサボりたがりです。繰り返し行われることは脳の消費エネルギーを落とそうという動きが出てくるのではと思うのですよね。この子とどうやって付き合うか・・・継続してうまーくそそのかして、ご褒美をあげていい気分にして、というのがポイントになりそうです。

一旦の結論として

公教育においては、小中学生から英語をイマージョンで習う・使う。多くの範囲ではなく限られた範囲を繰り返し扱う。そして実際に話せるようになるよう繰り返す、使う場を作る。これが子供達への教育に対する、私の提言です。いわゆる普通のイマージョンですね。

一方すでに大人になっているなら、一冊の本を文法を理解しながら丸暗記する。発音も初期のうちに矯正する=音を知る。次の段階として、それらの単語が使われている好きな動画を見まくる。ボキャビルは、気になる範囲で単語をチェックすればOK。発話は、気になった表現を、その人の感情や雰囲気までそのまま完全コピする。今はこのように考えています。

ただ、成果を急ぐのであれば暗記は効果的です。瞬間英作文も何かと批判されることがありますが、要は「1枚の絵や感情をLINEスタンプ並みに一瞬で英語を出す」ことなんですよ。口のトレーニングにもなるし、実際私はこれである程度のところまで行けたから、全否定をするつもりはないです。第二言語の習得方法としてなら、アリだと思っています。

そして、全体を通して言えることですが、苦しい勉強ではなく興味を持てて楽しいことってマストに思えてきました。だって、続かないじゃないですか。それに、英語を嫌いになっちゃうもの。

それでは、今日もお読みいただきありがとうございました!自動化するくらい、英語をたっくさん浴びましょうね!また次の記事でお会いしましょうー

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