英語を日本語のように自由に使えるようになる方法を、自身の模索を含めて発信している当ブログですが、本日は緊急で私の国際詐欺の経験をお伝えしたいと思います。
んもう。。悲しいというか自分に呆れるというか、これ以上被害者を出さないため、ポイントになるところをお伝えしますね。
ざっくり言うとこんなことがあった
Upwork (アップワーク) という海外のフリーランス向けの業務受発注のサイトで、好条件の翻訳依頼を受注しました。日本で言うクラウドワークスやココナラといえばお分かりでしょうか。
すぐにサイト外の取引をしたいとメールアドレスを聞かれ、週1,300USドル=約20万円というかなりの好条件で契約書を交わしました。実在する洋書の翻訳を1週間必死でこなし、レビューを経てQuick Pay (https://interquickpay.com) という金融機関の私のアカウントへ1,300ドルが支払われました。
早速引き出そうとすると、エラーが起きました。Quick Payのチャットフォームに問い合わせると、「個人認証に300 USドル送ってもらう必要がある」とのこと。おかしいと思いましたが、目の前の1,300ドルのために送金することに。色々あって55,500円を送金し、かつ運転免許証の写真や個人の顔写真という個人情報まで抜き取られたのでした。
その後、さらに157,000円を送らないとお金が引き出せないという説明をする金融機関。翻訳業務の依頼者に確認を図るも明瞭さに欠く説明が続くので、ここでさすがの私も気づきました。んもー遅いよー💦
被害の総額
被害総額は、約6万円です。でも何より、心のダメージが大きいです。期待していた収入がなくなると分かった落胆。2週間分の労働時間。難解な学術書の翻訳に、一人四苦八苦したあの気持ち。
あと、自分のことを責めてしまう辛さも・・・。
こうすれば被害は防げた
今振り返ると、今回の詐欺案件の依頼者は最初の段階から色々と変でした。次回の契約のために、こうすれば良かった、をまとめておきますね。
・発注者に、給与の支払い履歴があるか確認する:履歴がない発注者とはやり取りしない
・システムへの登録時期も確認する:登録から間もない発注者とはやり取りしない
・Upwork外で個人取引はしない。What’sAppなどに誘導されても断る
・メールアドレスを聞かれたら規約違反であるため、仕事を引き受けない
・疑わしかったら徹底して調べる:私の場合フィンランドからの依頼なのに、担当者はUS在住でした
・契約書の詳細を確認する:ざっくりしすぎていたのに、私は確認を十分に行いませんでした
ここが巧妙だった
私が人が良すぎるのよねと落ち込みつつ、ネット検索したらたくさんの同様の被害者さんの情報を目にしました。主に個人情報を抜かれたり、私のように個人認証などの名目で5~20万円の手数料を支払ってしまう方が多いようです。
詐欺と分かった今となっては、手が込んでるな、うまいなと思った点もいくつかあります。
・実在する大学名:今回はフィンランドの名門、ヘルシンキ大学からの依頼でした。
・実在する教授名:ヘルシンキ大学の教授と名乗る女性と日々のコミュニケーションを取りました。What’sAppという日本でいうLINEのようなアプリに、その女性の教授の写真でアカウントが作られていました。
・実在する洋書:ネットにも掲載されている、高度な学術書の翻訳を依頼されました。
・大学のロゴを使って作られたメールと契約書:フィンランド大学から契約締結の旨を「Congratulations!」とメールが来て、かつそのロゴの入った契約書にサインさせられました。
・作り込まれた金融機関のサイト:今思うと甘いところばっかりですが、割と情報が整っていて、一定の取引数もあるように見える金融機関のサイトに誘導されました。
・金融機関の所在地は、ロンドンに実在:ビルのテナント情報までは調べきれず、住所があるだけで安心してしまっていました💦
・毎日、一定時刻のコミュニケーション:上記の教授から、毎日夕方16時過ぎに進捗確認のメッセージが来ました。権威ある人から直接連絡を頂けるなんて、とうれしく思っていました。でも、教授にとっては夜中の2時台なんですよね。遅くまで、こんなクリスマスシーズンに連日働く??とそこは不思議でした。
性善説で見事に失敗。今思えば変なところだらけ
ほんと、変なところだらけです。こうやって書き出すと、なんで引っかかっちゃったの?というようにしか思えませんが、人間は自分のみたいように現実を見るものなのですね・・・
最初のコンタクト
- Upworkでプロフィール作成後、数日で高額案件のオファーを受けた
- すぐにUpwork外での連絡(メール、WhatsApp)を要求した
- 大学教授と称する人物の連絡先が米国の電話番号(+1)だった
契約時の不自然な点
- 支払い方法として未知の金融機関(Inter Quick Pay)を指定してきた
- 契約書の内容がざっくりしすぎている
- 高額の報酬なのに、ビデオ面談をしなかった
支払いに関する問題
- アカウント認証のために、300 USDの支払いを要求された
- 暗号通貨取引所(Bybit)での口座開設を強制した
- 300 USDの支払い要求と言われたのに、日本円で振り込むのに55,500円を送らされた
- さらに1,000 USD(約15万円)の追加支払いを要求
- それらの請求書・領収書をリクエストしても発行されなかった
コミュニケーションの不自然さ
- クリスマス期間中に、連日先方の深夜2時頃に連絡をしてきていた
- 「米国での機密のサミット」を理由に、大学のメールを使えないと主張した
- 質問への具体的な回答を避け続けた
- 教授からも金融機関からも支払いを急かす態度、強い態度を取られた
・・・おかしい、おかしいと時折思いはしていたものの、教育へのパッションを持つ自分の経歴が買ってもらえたという承認欲求を突かれてましたね。。
あと、権威性を使うことも詐欺集団の手口なのだと思います。あるヘルシンキ大学からの依頼、教授とのやり取り、学術書を翻訳するという誇り。この辺りで信頼してしまっていました。
AIに相当、助けられた
疑い始めてから近くの友人にも相談したのですが、AIに相談して事細かにアドバイスをもらいました。先方とのコミュニケーションに使う英語もビシッと翻訳してくれました。
その中で、今回はロンドンに住所をもつ金融機関という体裁でしたので、英国金融当局(FCA)への登録があるかや、「Companies House」に登録があるかを調べるようにアドバイスをもらいました。
日本人でこれがわかる人がどれだけいるでしょうか・・・本当にその数万円の被害額をAIに寄付したいくらいです。ちなみに、イギリスで正式に事業を行う企業は、必ずCompanies Houseに登録されているのだそう。Inter Quick Payというサイトは登録がなかったので、最後の最後まで少ない可能性を信じたかったですが、ようやく私の目も覚めたのでした。
最後の最後には、「もうこれ以上この件にエネルギーを向けるのをやめましょう。あなたの翻訳の才覚をこのような不毛な案件に使うべきではありません」とまで言われました。AIに呆れられることもあるんですね💔
これから取るアクション
免許証の写真や顔写真のデータ、メールアドレスを取られているので相手を刺激することは避けたいと思いますが、Upworkへの違反報告や、ヘルシンキ大学と実名を使われた教授への報告は行いたいと思います。
加えて、AIが提案してくれたのが警察のサイバー犯罪対策課への相談、消費者庁の消費者ホットラインへの報告です。それから、「将来の身分証明書の不正利用に備えて記録を保管」してはどうかとも言われました・・・そんなの怖すぎる。
それから、暗号通貨の ByBitにアカウントの停止を依頼したのに、二日経っても返信がありません。こんな緊急案件なのに「問い合わせが増えているから、回答まで数日かかります」という自動返信メールのみ。なんだかもう、信用なりませんね。
そして詐欺集団の皆さん、そんな人の生活も心もボロボロにすることをやって、ご先祖様は泣いてますよ。しかもそれほど大きい金額が稼げるわけでもないですからね。捕まることはないのでしょうか??
*2024/12/30追記:Upworkへの違反報告、警視庁本部とヘルシンキ大学への届出が完了しました。それぞれ、結構しっかり説明文を書いたのでなかなか骨が折れました。。そして暗号通貨のByBitですが状況を詳しく教えて欲しいとの返信があり、その対応を終えています。Bibitとはぜんっぶ英語でのやり取りです。日本のサポートセンターもあるみたいですがシンガポールの会社なので、英語の問い合わせ窓口の方が早いと思ったのでした。
それでも学べたことがある
かつて勤めていた会社にいくら外国人が多かったとはいえ、海外赴任を経験するのに比べれば経験の度合いは浅いものです。以前から海外赴任、長期の海外出張に憧れのある私にとって、今回はオンラインではあるけれども痛い海外修行をさせてもらうことになりました。
こうしたサイトを利用するときは、基本的には疑ってかかること。徹底的に調べること。プラットフォーム外でのコミュニケーションを求めるなど規約違反の案件には、どれだけ好条件でも応じないこと。もう、被害額の6万円と自分の心の傷を無駄にしないために、今後必ずそうしたいと思っています。
あと意外なところで、AIの優秀さをまざまざと見せつけられました。翻訳の精度も高いし、何より速い。めちゃくちゃ速い。もちろん人間のチェックや修正は様々な点で必要ですが、自分がこれまでにやっていた翻訳スピードとクオリティはなんだったんだろうと呆然とさせられるレベルでした。
ちなみに、私が使っていたのはClaude(クロード)という、Anthropic社が開発したAIアシスタントです。英訳の精度をDeepL、OpenAIのチャットGPTと比較したのですが、これが一番でした。ご興味のある方はチェックされてみてくださいね。
ここまで長文をお読みいただき、ありがとうございました。この猫ちゃんの写真、ピッタリすぎるな。でもこれで2024年のブログを締めくくりたくないので、年内にもう一つか二つ、元気な記事を書かせてもらいますね!Looking forward to sharing more stories with you before the year ends!